日本の法律制度では、離婚の形態として、当事者の協議による「協議離婚」、裁判上の離婚として、「調停離婚」、「審判離婚」、「裁判離婚」の4つが規定されています。
諸外国の多くは、離婚の原因がどちらにあろうと、夫婦関係が破綻していると裁判所で認められれば、離婚が認められるという考え方(破綻主義)に立ち、裁判でなければ離婚は認められません。
日本では、民法第763条において「夫婦は、その協議で離婚することができる。」と規定され、世界でも珍しく、協議による離婚を認めています。
夫婦の協議により離婚できる日本は、世界の中でも珍しい国とされています。各国の法律と比べても、裁判を経ないで離婚できる日本は、離婚の自由な国だとされています。夫婦間の話し合いで離婚の協議を行い、離婚の合意が成立さえすれば、日本では、裁判所を介さず、自由に離婚することができます。
当事者間の話し合いで離婚を決める「協議離婚」では、離婚理由について定めはありません。理由は何でも構わないのです。
離婚届に夫婦が必要事項を記入し、夫婦と証人2名が署名・押印した書類を市区町村役場に提出します。これが受理されれば、離婚は成立します。
協議離婚は、簡単であるため、財産分与や養育費の問題など、離婚時に決めておいたほうがよいことを決めないまま安易に離婚してしまうケースが多くあります。そのため、離婚後のトラブルを招きやすくなります。
こうしたトラブルを防ぐためにも、夫婦で協議し、合意した内容については、公証人に公正証書にしておくことをオススメします。
離婚を急ぐあまりに、急いで手続きを決めてしまうことは避けた方がいいでしょう。離婚届は、賢明な準備を行い、納得した上で、提出するようにしましょう。たとえ、浮気や暴力など法律上の離婚原因がある場合であっても、相手が離婚に応じない限り「協議離婚」することはできません。
もし夫婦の一方が離婚を急ぎ、勝手に離婚届を作成して提出すれば、その行為は文書偽造罪で罰せられることになりますし、離婚は無効になります。
夫婦のいずれか一方が離婚に応じず協議離婚ができない場合や、夫婦双方に離婚意思があるものの、慰謝料や財産分与、親権者など離婚の条件について合意が得られず、協議離婚に応じてもらえないような場合は、裁判所に調停の申立を行うことになります。
その場合、夫婦の間で離婚に関する話し合いが決裂した場合からといって、ただちに裁判に持ち込めるわけではありません。
たとえ相手からひどい仕打ちを受けていて、どんなに離婚を急いでいたとしても、家事審判法第18条により、裁判の前には必ず「調停」を経なければならないことになっています。これを「調停前置主義」といいます
離婚調停を経ずに、いきなり裁判を申し立てることはできないことになっているのです。調停は、調停委員2名が、裁判官(家事審判官)の指揮のもと、双方から事情を聞き、両者の間に入って、調停案を示すなどして、あくまで当事者間で妥当な合意を成立させ、紛争の解決を図ることを目的とするものです。
相手方が申立人と顔を合わせると、逆上し危害を加える怖れがあるようなときには、予めその旨を申し立てておけば、時間をずらして呼び出すなどの配慮してくれます。
調停の申立書は用紙に、申立の趣旨、申立の実情など必要な事項を記入することによって作成できます。
調停は、夫婦以外の第三者が申立人となることはできません
別居しているときは、相手の住所地の家庭裁判所に調停申立書を出します。基本的には申立をした方が、 相手方の住所地へと出向くかたちになっていますが、ほかに、夫婦間の「合意で定めた裁判所」でもいいことになっています。この場合「合意書」が必要になりますが、合意ができていれば、その地の家庭裁判所においても行うことができます。
申立の際は、夫婦の戸籍謄本1通と、申し立て人の印鑑が必要になります。
夫婦関係の破綻や結婚生活続けていけない理由などを示す資料があれば、一緒に添付するようにします。
家庭裁判所に申し立てる「調停」・「審判」は、得られる利益に関係なく、すべて定額です。
調停申し立て費用は印紙代1,200円で、その他裁判所が呼び出しに使用する切手代、80円切手×10枚を予め納めます。書類と費用を持参します。郵送も可能です。家庭裁判所に離婚調停の申立をしてから大体数週間程度で、夫婦双方に調停期日を知らせる「呼出状」の通知が届きます。
「呼出状」では、相手方には、申立書の内容は知らされませんので、具体的にどのような内容で申し立てられているのかは、相手には分からないことになっています。
第1回目の調停は、申立をしてから1ヶ月~1ヵ月半後ぐらいが指定されることが通常です。
調停の場では、家事審判官や調停委員の前で離婚に至った事情や、経緯を説明しなければなりませんが、公開の場で行われる裁判離婚と違い、家事審判官や調停委員には秘密保持義務がありますし、調停そのものは非公開で行われますので、個人のプライバシーが外部に漏れることはけっしてありません。
調停は非公開で、夫と妻を交代で調停室に呼び出し、事情を聞きながら夫婦がお互いに合意できる点を探っていきます。離婚の当事者が直接話し合うわけではありません。
離婚そのものに限らず、親権者、養育費、財産分与、慰謝料、面接交渉などのあらゆる問題について、妥協点から合意点を探り寄せていきます。調停によって離婚の合意が成立し、双方が納得することができ、調停委員会が離婚するのが妥当と認めた場合には、調停は成立します。
調停内容がほぼまとまると裁判官は調停の行われている部屋で、当事者の前で調書の条項を読み上げ、当事者に確認させます。
家事審判法第21条1項には「調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。」とあります。
この規定により、調停調書は、確定した判決と同じ効力を持つことになりますので、作成後には後で不服を述べて、変更することはできません。
ですので、最終確認の際に、内容が違っていると思う場合は、必ず訂正してもらう必要があります。
内容の意味が分からなければ、理解でき納得できるようになるまで、説明を受けるようにします。納得できないものには、納得できない旨をハッキリと主張するようにします。また、調停調書に記載がない事項は、調停で決まったことにはなりませんので、追加しておきたいことがあれば、必ず調停条項に入れてもらうようにします。なお、戸籍には離婚の仕方が記載されます。
協議離婚であれば「協議離婚」をした旨、調停離婚であれば「調停離婚」をした旨、裁判離婚であれば「裁判離婚」した旨が記載されます。
「協議離婚」と記載されることは厭わない人でも、「調停離婚」と記載されるのを望まない人もいます。こうした人の場合は、調停の途中で離婚に合意し、調停を取り下げることで、協議離婚と同じ扱いにしている人たちもいます。
この場合は、強制執行力の調停調書は作成されませんので、調停で合意の得られた内容について、
強制力を持たせたい場合は、公証役場を訪ねて、公正証書にしておく必要があります。夫婦の協力扶助、婚姻費用の分担、子の監護、財産分与などは、審判の対象にもなり、調停の対象にもなります。これらについては、「調停」を経ずに、「審判」の申立をすることもできます(必ず調停を経てから行うものとするという「調停前置主義」は、「審判」については定められていません)。
しかし、この場合にも、家庭裁判所は、夫婦が調停委員会を交えた話し合いが行われるのが妥当であると考えるときは、「調停」に移すことができるようになっています。いきなり「審判」を申し立てても、実際は、家庭裁判所の職権で「調停」に回されることが多いといえます。家庭裁判所は、離婚について相当と認めたときは、職権で「離婚の審判」を下すことができることになっています(家事審判法第24条1項前段)。
こうした家庭裁判所による「審判」の結果については、2週間、異議の申立ができることになっています(同法第25条1項)。
そして2週間以内に異議の申立がない場合は、「審判」が確定すると、裁判での「判決」と同じ効力が認められることとなります(同法第25条3項)。
離婚調停が不調に終わったり、または裁判所が下した審判に異議申立があった場合は、
裁判を行うようになります。「裁判離婚」における判決は、相手がどんなに嫌がっても強制的に離婚させてしまう効力を持ちます。
離婚訴訟は、それまでは地方裁判所が扱ってきましたが、2004年(平成16)年4月からは、家庭裁判所で行うようになりました。
それまで家庭裁判所で訴訟事件を扱わなかった理由の1つでした。
それまで家庭裁判所で訴訟事件を扱わなかった理由には、「訴訟」という対決的な手段を家庭裁判所に持ち込むことによって、和やかな話し合いの場である「調停」に支障をきたす怖れがあったからでした。
しかし家庭裁判所も発足して50年以上経ち、「調停」はしっかり定着し、着実に実績をあげていること、同じ紛争が家庭裁判所と地方裁判所に分断されない方が、当事者にとっても分かりやすいこと、家庭裁判所を家庭に関する専門の裁判所とした方が一貫性があることなどから、離婚や養育費、慰謝料などについての「訴訟」も、家庭裁判所で行うようになりました。
離婚訴訟は、「訴状」を作成して家庭裁判所に提訴します。
訴状には、原告(訴えた方)・被告(訴えられた方)の本籍地と、住所、請求の趣旨(内容)、請求の原因とを記載し、収入印紙を貼って裁判所に提出します。
訴状の提出が済むと、裁判所はこれを被告に送達し、裁判が開かれる日(「口頭弁論期日」)を指定して、原告・被告両者を呼び出します。
双方の主張を聞いた上で、争点を整理し、争いのある事実について証拠を提出させ、その証拠調べが行われます。
そして、認定された事実に法律的判断を加えて、判決を言い渡します。

判決後2週間以内にどちらかが上訴をしなければ、判決は確定したこととなり、訴訟は終了します。

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